先日は一行でうっかり配信してしまいました(;^_^A
アクセスしてくれた皆さま、すみませんでした。
今回はダラダラと3000文字近く書いています。よろしかったらお付き合いください。
Salut ネットフリックス「メイドの手帖」を見ました。
リミテッドシリーズ 全10話
\原作はこちらから。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーです。/
作者ステファニー・ランドの実話で、ドラマは一部作られたものです。
制作総指揮は女優のマーゴット・ロビー(映画「スキャンダル」観ました。)
これは期待大ですね。
人間関係、格差社会の描写はとても複雑で、なかなか救いが見えず辛いのですが、エピソードが幾重にも重なり、魅力を増し、引き付けてやみません。
その中でも気になった個所を紹介します。
一夜を車中で過ごし、ふとしたことから福祉事務所の存在を知る。
住宅補助を申請に行くが窓口の女性に開口一番、
「無職で貧乏な白人だから、政府の寛大な施しを狙いにきたのかしら」
このセリフだけで、このドラマのただならぬ気配がしますね。
住宅補助を受けるには、給料明細が必要だ。
無職なので給料明細などない。
仕事を探そうと思えば住所がいる。
住所が無い。の悪循環だ。この悪循環は日本でも聞きますよね。
なんとか最低時給金額12ドルの”離職率の高い”清掃会社の仕事を紹介してもらう。
その清掃会社も一癖あって、
・掃除機以外の掃除道具は自腹で用意すること。
・重労働の為一日6時間労働
・それ以上は体を壊しても何の保障もないので働くな。
道具をそろえるだけで残金は3ドルに。
★★★
借金返済のために、仕事で必要な車を新たに借金で購入し働き始める。
そんな映画ありましたね。
\ケン・ローチ監督「家族を想うとき」はこちらから/
\同じくケン・ローチ監督作品。若い女性のホームレスを描いたこちらの作品も必見/
マディは精神を病んでいる母と、信頼できない母の恋人に渋々預けることになった。
アレックスは先ほどの福祉事務所の窓口の女性に、
「今は家が無くて困っているが、申請して努力しているので自分は”ホームレス”ではない。DVシェルターの存在は知っているが、暴力を振るわれた訳ではない。
本物のDVではない」という。
では、本物のDVでないのなら、偽物のDVとは?
「精神的に支配されたり、恫喝されればそれはDVだ。
DVシェルターに電話をして、助けてと言えばいい」と諭されます。
その一言が言えないってことありますよね。
その後シェルターにはいり、夫との親権裁判で両方が親権を持つことになります。
マディが夫側にいるとき、必死で働くアレックス。
シェルターで親切にしてくれたダニエルが突然いなくなり、シェルター責任者のデニーズに問い詰めると
「きっと夫の元に戻った。夫と完全に決別ができるまで7回かかる。ダニエルは3回目だった。私は5回だった」
という厳しい現実を知ります。ひどい目に合っているのに決別って難しいんだな。
作中でも度々夫から電話かかっていたし、今度こそはと期待してしまうのだろうか。
清掃の仕事は重労働だが順調に仕事が入るようになった。
家主が留守の時に清掃するので、清掃員は幽霊のような存在なのだが。
各家庭の様子を鋭い洞察力で手帖に書いていくアレックス。
お金持ちでも不妊に悩む家庭(レジナは弁護士で家で偶然居合わせることが多い。)
外ずらいいのに家では寝室も別々の家も。
中には、子供部屋や数か所に外から鍵がかかり、かつて監禁されたと思われる跡がある家も。(怖い)
ショーンは断酒会に入り、順調に回復傾向にあった。
ふたたび、二人の距離は縮まっていき、一緒に暮らすことに。
そんな中、以前通っていた(遠方にある)大学に復学申請をして、作品が認められた。奨学金も決まって喜ぶアレックスを見て豹変するショーン。
「家族のために必死で断酒し、仕事を掛け持ちして養っているのに、マディを俺から奪うのか」と怒り狂う。
冒頭と同様に物を投げつけ、罵倒する暴力が始まったのだ。
自分の迂闊さのために、夢と希望を奪われたアレックスは無気力で思考も止まり、まるで幽霊のような存在になっていきます。
ショーンはアレックスを完全に支配し、夜には女を家にを連れ込む有様です。
アレックスは鍵がかかっていないのに、逃げ出すことができません。
逃げ出すという発想すらできないのです。
そんな時、初回から客のレジナが家にやってきたのだ。
「手帖を置き忘れている。4週間も清掃に来ていないので会いたい」と。
そのときは夫によって会えなかったのだけど、夫から手帖を返してもらい見ている内に、我を思い出します。
そして名刺が挟んであり、そこには「いつでも連絡して」と。
流石弁護士です。異変に気が付いていました。
作中何度か助けてやってよと思うエピソードがあったのですが、拒む。
くぅー金持ちめー!と思っていたのですが、ここにきて救いの手をだしてくれました。
そうは言ってもアレックスが行動を起こさないと始まりません。
行動を起こせるのか?
深夜再び、夫が寝静まった後に寝ているマディを抱えて森を歩いて町を目指します。
レジナの運転する車で元居たDVシェルターに戻り、今度はグループセラピーを受けて
時間をかけて自分を取り戻していきます。
やがて、親権をもち、大学を目指すのでした。
このコロナ禍で、誰もがホームレスやDV被害者になりうることがわかりました。
また、昨年の東京都のバス停でおきた60代ホームレスの女性の事件も、心が痛かったです。年代も近いから気になったんです。
調べていくうちに「好きで東京に来たのだから、何があっても地元や他人を頼れない」という心情がわかりました。
渦中にいる人は、なかなか助けてと言いにくい状況だったり、アレックスのように「自分は被害者じゃない」と否定することも十分ありえます。
直接本人に話しかけるって言うことは難しいけれど、せめてプロの関係機関に気になる人・心配な人がいると連絡し、間接的に入ってもらうことは出来るのではないでしょうか?ビビりな私だけど、そんなことを思いました。
\原作はこちらから/
Au revoir